詩「降りろと男は言う、死神は笑う」

俺には二つ悩みがある。

一つは死神に取り憑かれているという事、もう一つはレプラコーンに取り憑かれているという事だ。

死神に憑かれているというだけで厄介なのに、妖精にまで取り憑かれるなんて何かの間違いだと思いたいがこれは現実だ。

というか、レプラコーンってアイルランドの妖精なんじゃないのか?

ここは日本だぜ。

なんでアイルランドの悪戯好きが日本にいて俺に纏わり付くのか皆目見当もつかないが、分からない事は考えても仕方がないので、俺は極力こいつと死神をいないものとして普段通りの生活を送ろうと努めている。

だけど、俺がシカトすればするほど、こいつらは俺の注意を引こうとあの手この手で俺をイラつかせてくる。

風呂に入ろうと湯を沸かすと、いつの間にか水に変わっているし、料理作って食べようと思ったらおかずが三分の一に減っているし、とにかくこいつらとの生活はストレスが半端じゃない。

極めつけは俺がバイクに乗って出かけようとする時だ。

駐輪場に行ってバイクのカバーを外すといつも必ずレプラコーンの野郎が俺のバイクのシートに座っているんだ。

それで俺が「どけ!」と言うと死神の野郎が腹を抱えて笑い転げるんだよ。

たまらねぇぜ、まったく。

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