日本では妖精と聞くと、羽のある可愛らしい小さな少女のようなものをイメージする人が多いと思いますが、実際にそのような妖精はほんの一握りで、世の中にはもっとユニークな見た目や特徴を持つ妖精がたくさんいます。
基本的に妖精は悪戯好きなものが多いですが、人間にとって有益な妖精も多く、中には家事や仕事の手助けをしてくれる妖精もいます。
家事や仕事の手助けをしてくれる妖精はhousehold fairies(家憑き妖精)などと呼ばれ、古くから親しまれて来ました。
家憑き妖精の中にも様々な種類がいるので、今回は家事や仕事の手伝いなどをしてくれる妖精たちをまとめて、それぞれ簡単に説明していきます( ..)φメモメモ
もくじ
ブラウニー
ブラウニーは英国の伝承に登場する家憑き妖精の一種です。
ブラウニーはhousehold fairies(家憑き妖精)の中で最も一般的によく知られた妖精で、家主が寝てる間に家事や農業などの手伝いをしてくれます。
彼等が憑いた家は必ず繁栄すると言われていますが、ブラウニーはすぐに気分を害して去ってしまうので、ずっと家にいて欲しいなら扱いには注意する必要があります。
大きさの描写については時代と共に大きく変化して来たらしく、最も古い伝承によると、人間と同じくらいの大きさ、またはそれよりも大きいとされていますが、近年では30センチ~1メートルほどの大きさであると言うのが一般的であるそうです。
伝承に登場するブラウニーの見た目や特徴は様々ですが、一般的に醜いと言われています。
また、肌の色は茶色で、全身が毛むくじゃらで常に裸、またはボロボロの服を着ているそうです。
ちなみに、wikipediaによると、年長のブラウニーがサンタクロースになるという伝承もあるそうです。
ホブゴブリン
ホブゴブリンは主にイングランドやスコットランドなどの伝承に登場する家憑き妖精、または精霊の一種です。
とても役に立つ精霊で、家の掃除やアイロンがけなどをしてくれますが、ブラウニーと同じように、ちょっとした事ですぐに怒って出て行ってしまう事もあるそうで、扱いには注意しなくてはならないと言われています。
また、他の多くの家憑き妖精や精霊たちと同じように、ホブゴブリンもまた、人前に姿を現す事は稀で、基本的に家主が寝静まった後や出かけている時などに家事や仕事の手伝いをします。
大きさに関しては、ホブゴブリンは一般的に小さな精霊であると言われていますが、具体的な大きさは伝承により様々です。
一説によるとホブゴブリンは2~3フィート(30~90センチ)ほどだと言われていますが、また別の説では3~6センチほどのとても小さな精霊であるとも言われています。
見た目に関する描写は概ね一致しており、基本的にホブゴブリンは醜くい容姿をした毛むくじゃらの人間の男のような姿をしていると言われています。
衣服に関しては、裸、またはボロボロの茶色い服を着ているそうです。
ちなみに、ホブゴブリンは基本的に無害な存在ですが、悪戯好きで、時には人間を困らせて楽しむ事もあるそうです。
また、見た目や特徴がブラウニーと似ているので同一視される事もあります。
ロブ
ロブは主に英国の伝承に登場する家憑き妖精の一種です。
ミルクやクリーム、暖炉のそばの場所を提供すると、代わりに家事などを手伝ってくれると言われています。
同じく家憑き妖精の一種であるブラウニーなどと類似していますが、ロブは悪意や口論を好み、また、人間の不幸を喜んだりするなどとも言われています。
また、別の名ではLubber Fiendとも呼ばれ、英語圏ではこちらの呼び名の方が一般的であるそうです。
他にも、Lubberkin,Lob Lie–By–The–Fire(暖炉の傍のロブ)などと呼ばれる事もあります。
ちなみに、Lubberは図体の大きな無骨者「でくのぼう」を意味し、Fiendは「悪魔」を意味するそうで、名前の意味する通り、ロブ(ラバー・フェンド)は悪魔の一種であるとも言われています。
見た目に関しては、一般的にロブは醜く、大きな全身毛むくじゃらの人間の男のようだと言われています。
また、尻尾もあるので、見た目は妖精というよりは悪魔に近いです。
一方で、ロブはブラウニーまたはホブゴブリンの一種であるとする説もあるようです。
バン・ティー
バン・ティーは主にアイルランドの伝承に登場する女性の家憑き妖精です。
バン・ティーは世話好きで、進んで家事の手伝いをしてくれるとても善良な妖精であると言われています。
特に、日々の育児や家事などで疲れ切った子持ちの女性や孤独なお年寄りの女性の家に住み憑き、家事の手伝いや世話をしてくれるそうです。
一方で、「家事の手伝いや世話をしてくれる」と言ってもバン・ティーもまた妖精なので、滅多に人前に姿を見せる事はなく、家の者が誰もいない時や住民が寝静まった後などにひそかに家事の手伝いや世話をしてくれるそうです。
また、バン・ティーは子供の世話をするのが好きで、寝ている子供の毛布をかけなおしてやったり、窓が開いていれば隙間風が入らないように閉めてやったり、時には子守唄を歌ってやる事もあると言われています。
ちなみに、「バン・ティー」とは英語読みで、アイルランドではbean tigheと書いて「ベン・タァイ」と読むそうです。
※beanとはアイルランドでは女性を意味する単語
見た目に関しては、バン・ティーはふくよかでとても優しそうな老婆のような見た目をしていると言われています。
服は古い農婦が着るような物を身に着けているそうなので、ステラおばさんをイメージすると分かりやすいです。
キルムーリス
キルムーリスはスコットランドの伝承に登場する家憑き妖精の一種です。
スコットランドの国境地方(Anglo Scottish Border)に伝わる妖精で、主に低地地方の粉ひき場に住むと言われています。
また、ブラウニーやホブゴブリンなどと同じように家事の手伝いや家業の手助けなどをする善い妖精であると言われています。
しかし、他の多くの妖精などと同じように、キルムーリスもまた悪戯好きで、穀物を勝手に食べたり、脱穀した麦に灰を吹きかけたりする事もあるそうです。
ちなみに、大きさは1 foot(訳30センチ)ほどとかなり小さいので、場合によってはネズミなども天敵になる事があるらしく、襲われた時は長い針などで応戦するそうです。
見た目に関しては、キルムーリスの見た目はかなり特徴的で、顔のパーツは目と耳と大きな鼻だけです。
口がないので、代わりに食べ物は大きな鼻から吸い込んで吸収すると言われています。
また、口がないので喋る事も出来ませんが、唸る、またはテレパシーのような能力を使って意思疎通が出来るとも言われています。
まとめ
今回は5種類の人間にとって有益な家憑き妖精たちを紹介しました。
ブラウニーやホブゴブリン、ロブなどは見た目や特徴が似ており、同一視される事もあるので少しややこしいですよね。
私は民族学者ではないので詳しい事は分かりませんが、恐らく、国や地域が違っても同じような妖精の伝承が各地に伝わっており、時代が進むに連れて同一視されるようになったのではないかと思います。
この記事が何かの参考になれば幸いです。
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