もくじ
アスライとは
アスライとは主にイングランドのShropshireやCheshire、コーンウォールなどの伝承に登場する水の妖精または精霊の事である。
国や地方によってAsraiはAsrey, Ashray, Azraiなどと呼ばれる事もある。
一説によると、アスライは太陽の光を浴びると溶けて水になってしまうので、普段は海や湖の深いところで暮らしているという。
しかし、百年に一度、月明かりの下で水浴びをするために姿を現すと言われている。
※アスライは不死または数百年生きる
なんでも月の明かりは彼女達が成長するためにはなくてはならないものなのだそうだ。
ちなみに、アスライに関する伝承は数が少なく、元々は余りポピュラーではなかったが、Ruth Tongueという著名な民族学者が書いた本、Forgotten Folktales「忘れられた民話達(1970年発行)」の中にアスライが登場した事で初めてその名が大衆に知れる事となったそうだ。
見た目・性格・特徴
基本的にアスライは若い美しい娘の姿で描写される事が多く、時には人魚のように下半身が魚の姿で描写される事もある。
また、人間のように足があり、直立する事が出来るが、両足に水かきがついているとする説もあるようだ。
基本的に、臆病で恥かしがり屋な性格をしているが、人間の男を見つけると誘惑して水中に引きずり込んでしまう事もあるという。
または、アスライは非常に美しい娘の姿をしているので、男の方から彼女達に近づく事もあるそうだ。
その時、男がアスライに触れてしまうと、アスライの肌は非常に冷たいので、凍傷になってしまうと言われている。
主なストーリー
冒頭で先述したようにアスライに関する伝承は数が少ない。
ここではイギリスのShropshireとCheshireに伝わる有名な話を一つ紹介する。
ー漁師とアスライー
ーある時、漁師は仕掛けた網に美しい人間の娘のような姿をしたものがかかっているのを見つけた。
漁師が彼女を網ごと舟に引き上げると、彼女は「逃がしてほしい」と嘆願しているようだったが、それは今まで聞いた事もないような言語だったので漁師には理解出来なかった。
漁師が彼女をロープで縛ろうとして肌に触れると、それはとても冷たく、漁師の両手は焼かれたようにただれてしまった。
漁師は彼女を湿った海草で覆うと、岸に向かって舟を出した。
道中、彼女はずっと何かを必死で訴えていたが、その声は次第に小さくなっていった。
漁師がようやく岸に辿り着くと、彼女はもう既に溶けて水になってしまっていたー
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