詩「月明りの夜、満天の星、優しい笑顔」

いつからだろう

空が青く澄み渡って見えるようになったのは

いつからだろう

庭に咲く金木犀きんもくせいの香りが好きになったのは

それは特別な日ではなかった

私はその日もいつも通り退屈で平凡な時間を過ごしていた

空はいつも通りよどんだ灰色で、小鳥の歌声は耳障りで、窓を開ければ金木犀の香りが鼻に付いた

早く終われば良いのに、人生は長く、残酷だ

私の唯一の楽しみは食後に夜空を見上げ星を数える事だけ

「私もいつかあの星のひとつになれるのだろうか」

そんな事を考えながらふと、庭の金木犀に目をやると

「誰かいる」

1人の青年がこちらを見上げていた

私が不審に思うよりも先に彼がその顔に照れたような優しい笑顔を浮かべた

彼は直ぐに立ち去ってしまったが、気づいたら私も彼の背中を見つめながら笑顔になっていた

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