ニンフとは
ニンフとはギリシア神話などに登場する精霊の事である。
海や川、山や谷、森などに宿る精霊で、これ等の場所を守ったり新たな生命を育んだりすると言われている。
またニンフ達は海や山、川、森など様々な場所を住処としているので、その場合は場所によって区別され、別の呼び名で呼ばれる事もある。
例えば海に住むニンフは「ネレイデス」、山に住むニンフは「オレイアス」、森に住むニンフは「アルセイス」などと呼ぶが、要はニンフの事である。
これ等のニンフ達は女神と同一視される事もあるが、自然に宿る精霊だと考えるのが一般的であるそうだ。
彼女達は非常に長命であるが、他の神々のように不老不死ではないと言われている。
ちなみに、ギリシア神話をモチーフに描かれた絵画の中で、自然が豊かな場所で複数の若く美しい娘が描かれている場合はニンフ達である可能性が高い。
魔性の精霊
ニンフ達は多くの場合、自然を守る精霊として描かれているが、伝承によっては酒の神ディオニュソスなどのワイルドな神々に付き従い、踊り狂ったりするなど、純情な精霊とは言えない場合も多々ある。
また、自分達の住処のそばを通る旅人などを魔力で惑わしたり、人間の男に恋をして誘惑したり、連れ去ったりするなど「魔性の精霊」としての一面も持っている。
様々なニンフ達
冒頭で先述したように、ニンフは住処によって区別され、呼び名が異なる場合があるので、ここでは様々なニンフの名称と簡単な解説をしていく。
海のニンフ:ネレイス
ネレイスは海に住むニンフ達の総称である。
海神ポセイドンの妻アムピトリテもネレイス達の一人である。
川や泉のニンフ:ナイアス
ナイアスは川や泉に住むニンフ達の総称である。
ナイアスは住処の川や泉の神の娘とされる事が多い。
またナイアスがいる川や泉の水を飲むと病気が治ると言われているが、水に入る事は冒涜とみなされ、災いがふりかかるらしいので注意しよう。
木に宿るニンフ:ドリュアス
ドリュアスは木に宿るニンフの総称である。
ドリュアスは他のニンフと同様に長命であるが、自らが宿る木が枯れてしまうと死んでしまうらしい。
また好みの男がそばを通ると誘惑して木の中に引きずり込んでしまう事があるらしいのでイケメンの人は気をつけよう。
山のニンフ:オレイアス
オレイアスは山に住むニンフの総称である。
狩猟の女神アルテミスと共に野山を駆け回ったワイルドなニンフ達である。
森のニンフ:アルセイス
アルセイスは森に住むニンフの総称である。
一説によるとアルセイスは森で暮らすケンタウロス達の従兄妹であるという。
冥界のニンフ:ランパス
ランパスは冥界に住むニンフの総称である。
彼女達は冥界の女神ヘカテと共に松明を掲げて冥界を照らす者達であると言われている。