妖精 プーカについて



プーカとは

プーカとはアイルランドやスコットランドなどのケルト諸語圏しょごけんに古くから伝わる妖精、精霊、ゴーストの事である。

人間に恩恵をもたらす事もあると言われるプーカだが、多くの場合、プーカは恐ろしく、夜道では決して出会いたくない存在であるとされてきた。

しかし、実際のところ、プーカについての記述や描写には曖昧なものが多く、イメージがし辛い。

姿形に関しては、プーカには変身能力があると言われており、これがプーカの描写が曖昧あいまいになる理由とも考えられている。

プーカは場所や気分によってどの姿に変身するのかを決めるらしく、

ある時は黄の眼を持つ黒馬、またある時はヤギウサギなどに姿を変え、時には人間の姿にも変身すると信じられてきたそうだ。

先ほど、プーカは「夜道では決して出会いたくない存在」と言ったが、プーカが黒馬の姿をしている時に出会ってしまったら覚悟をした方が良いだろう。

なぜならプーカは黒馬の姿をしている時、夜道で出くわした人間を背中に乗せて一晩中カントリーサイドを猛スピードで駆け回り、背中に乗せた人間に凄まじい恐怖を与えるからだ。





プーカと銀の拍車

拍車はくしゃとは乗馬靴のかかとに取り付ける金具の事、カウボーイや西部劇のガンマンのブーツのかかとについている金具をイメージすると良い

黒馬の姿をしたプーカの背中に乗せられても無事に降りる方法がある。

それは「銀の拍車を靴に取り付けておく事だ。

それを裏付けるこんな話がある。

ーウィックロウ州(County Wicklow)に住むある男はプーカの被害に遭わないようにいつも銀の拍車の付いた靴を履いていた。

ある時、とうとうプーカと遭遇し、背中に乗せられたが、銀の拍車を押し付けるとプーカ火傷を負い、男を残して走り去って行ったー

ちなみに、これはPollaphucaポォラフュカ別名プーカの穴(hole of the puca)という場所で起きた話だと言われている。

また、別の話ではプーカが先の尖った拍車を恐れている描写がされている場合もあり、銀が苦手なのか、拍車自体が苦手なのかはハッキリしないが、銀の先の尖った拍車を常に身に帯びていれば安心だろう。


良い話

冒頭で先述した通り、プーカ人間に恩恵をもたらす事もあると言われている。

そこで、ここでは有名なプーカにまつわる良い話を紹介する。

ーある寒い日、農夫の息子パドリグは目に見えないプーカの気配を感じて、寒かろうと、コートをプーカに与えた。

するとその日の晩にプーカが農場に現れて、コートのお礼に穀物を粉にする作業を密かに手伝った。

プーカの恩返しは連日続き、ある時パドリグは彼がボロボロの服を着て作業をしているのを目撃し、シルクのスーツを彼にプレゼントした。

するとプーカはとても喜んで、素敵な服をもらったから世界を旅して周ると行って姿を消してしまった。

プーカの手伝いもあって、裕福になったパドリグは後に大学に通う事ができた。

大学を無事に卒業して数年後、パドリグはある娘と婚約し、式を挙げる事にした。

結婚式の当日、密かに黄金の杯が置かれていたが、パドリグはこれをプーカからの贈り物だと疑わずに飲み干すと、幸福に恵まれ、幸せに暮らしたー





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