もくじ
スルーアとは
スルーアとはアイルランドやスコットランドなどの伝承に登場する精霊の事である。
精霊とは木や水などの自然に宿る魂などの事を指すだけの言葉ではなく、死者の魂を指す事もある。
スルーアはspirits of restless dead「休まる事のない死者の魂(精霊)」であり、
アイルランドでは何千年も前から、スルーアはこの世で最も恐ろしい精霊だと伝えられて来た。
一説によるとスルーアは天国にも地獄にも行けず、また地上に留まる事も許されなかった最も罪深き罪人たちの魂であり、この世とあの世の狭間を永遠に彷徨う運命であると言う。
古くからの伝承によると、スルーアは太陽の沈む西の空から死者の魂を盗みにやって来ると言われて来た。
彼等に盗まれた魂は彼等と共に永遠にこの世とあの世の狭間を彷徨い続けるそうだ。
なので、アイルランドの田舎の方では未だに西の窓は常に閉めておく習慣が残っている地域が多くあるらしい。
これは西の空からやって来るスルーアを家の中に入れないようにするためであると言う。
ちなみにスルーア(Sluagh)はアイルランド語で「host(群れ)」を意味し、これはスルーア(罪人の魂)が鳥の群れのように群がって宙を彷徨う事が由来であると言われている。
見た目・特徴・伝承
アイルランドやスコットランドではスルーアの見た目は決まった形のないゴーストのようなもの、または影のようなもので、それ等が集まってカラスの群れのように空を漂い、死者の魂を盗みに来ると言われて来た。
そうした罪人の魂は主に、葬儀が行われる前の死者の魂を盗みに来ると言われて来たが、一説によると気分が酷く落ち込んでいる人や悲しい気持ちでいっぱいの人々の所にやって来て、魂を奪おうとする事もあると言う。
スルーアは死者の魂が少ないと、こうした生きている人々の弱った魂を感じ取り、奪いに来る事もあるそうだ。
※記事トップの画像は、女性の周りを影のようなスルーア達が囲んでいる様子を描いたものである
ちなみに、日本が世界に誇るダークファンタジー漫画の金字塔「ベルセルク」をご存知だろうか?
スルーアをイメージする上で私が最も分かりやすいと思うのが、作中に登場する「思念の渦」である。
これは魔の存在、または魔に関わった者が現世で死んだ場合に引きずり込まれる渦であり、一度渦に引き込まれた魂は永遠にこの世とあの世の狭間にある深淵を彷徨うという設定である。
スルーアの伝承、特徴とは基本的には異なるが、一致する所もあるので、イメージが掴み辛い人は一度読んでみると良いだろう。
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