女性の姿をした妖精まとめ!



日本人の持つ妖精のイメージはティンカーベルのような羽のある小さな女の子が一般的ですが、ヨーロッパなどに古くから伝わる妖精達は男性の姿をしているか、または中性的な容姿を持つものがほとんどで、女性の姿をした妖精はあまり伝えられていません。

そこで今回は私が知っている女性の姿をした妖精をイラストを添えていくつか挙げていくので、楽しんで頂けたら幸いです。

バン・ティー

バン・ティーはアイルランドに古くから伝わるhouseholdハウスホールド fairiesフェアリース(家憑き妖精)の一種で、家事の手伝いをしてくれるとても善良な妖精であると言われている。

特に、日々の育児や家事で疲れ切った子持ちの女性や孤独なお年寄りの女性の家に住み憑き、家事の手伝いや世話をしてくれるそうだが、時には同じような境遇の男性の家に憑く事もあると言う。

一方で、「家事の手伝いや世話をしてくれる」と言ってもバン・ティーもまた妖精なので、滅多に人前に姿を見せる事はなく、家の者が誰もいない時や寝静まった後にひそかに家事の手伝いや世話をしてくれるそうだ。

例えば、あなたが疲れていて「掃除の途中で寝てしまった」場合や「洗い物や洗濯をするのが面倒でそのまま寝てしまった」場合でもバン・ティーが住み憑いていれば、あなたが寝ている間にそれ等の家事を仕上げておいてくれるという訳だ。

また、バン・ティーは子供の世話をするのが好きで、寝ている子供の毛布をかけなおしてやったり、窓が開いていれば隙間風が入らないように閉めてやったり、時には子守唄を歌ってやる事もあるそうだ。

なお、「バン・ティー」とは英語読みで、アイルランドではbean tigheと書いて「ベン・タァイ」と読むらしい。

beanベンとはアイルランドでは女性を意味する単語であるそうだ。

また、日本でも有名なアイルランドのまた別の女性の妖精「バン・シー」もまた英語読みであり、アイルランドではbeanベン siシーと書く。

アスライ

アスライとは主にイングランドのShropshireシュロップシャーCheshireチェシャ、コーンウォールなどの伝承に登場する水の妖精または精霊の事で、国や地方によってAsraiアスライAsreyアスレイ, Ashrayアシュレイ, Azraiアズライなどと呼ばれる事もあるそうだ。

一説によると、アスライは太陽の光を浴びると溶けて水になってしまうので、普段は海や湖の深いところで暮らしているという。

しかし、百年に一度、月明かりの下で水浴びをするために姿を現すと言われている。

※アスライは不死または数百年生きる

なんでも月の明かりは彼女達が成長するためにはなくてはならないものなのだそうだ。

ちなみに、アスライに関する伝承は数が少なく、元々は余りポピュラーではなかったが、Ruthルース Tongueタングという著名な民族学者が書いた本、Forgottenフォゴッテン Folktalesフォルクテイルス「忘れられた民話達(1970年発行)」の中にアスライが登場した事で初めてその名が大衆に知れる事となったそうだ。

ラナン・シー/リャナン・シー

ラナン・シー/リャナン・シーとはアイルランドやスコットランドなどのケルト諸語圏に伝わる妖精の一種である。

彼女の名前はゲール語のleannanラナン(恋人・愛人・愛しい人)が由来で、英語ではfairy loverフェアリーラバーなどとも呼ばれているそうだ。

容姿は狂おしいほど美しく、気に入った人間の男性に言い寄り恋人になるという。

特に詩人や芸術家などを好み、彼等の恋人になる事で良作を生みだすためのインスピレーションを与え、アーティストとして大成するのに大いに貢献するらしい。

しかし、ラナン・シーを愛した男はみな最終的には気が狂い、短命に終わってしまうという。

先ず、ラナン・シーの恋人になった男は心も体も時間も全てを彼女に捧げる事を求められる。

その代わりに詩人や芸術家にとって最も重要とも言える、俊作を生みだすのに欠かす事の出来ないインスピレーションを彼女からもらう事が出来るのだが、一度彼女からの恩恵を受けると詩人や芸術家は彼女なしでは作品が作れなくなるという。

そうしてどんどん彼女に依存していき最終的には気が狂って自分を傷つけたりしてしまうらしい。

これが彼女による策略なのかあるいは、詩人や芸術家にありがちな作品作りの苦悩によって精神を病んでしまった結果なのかは分からないが、人間の男にとってラナン・シーは危険な妖精であるとも、恩恵をもたらしてくれる妖精とも言えるだろう。

バンシー

バンシーとは主にアイルランドの民間伝承に登場する妖精の一種である。

オリジナルの伝承によると、バンシーは人間の家に住みつく美しい女性の姿をした妖精またはゴーストで、その家に住む家族の誰かが死に近い場合や亡くなった時に死の前触れとして現れ、悲しみに満ちた歌を愛を込めて歌うそうだ。

しかしオリジナルの伝承が国や地域を越えて世に広まると共に、または時代の変化と共に伝承の内容は少しずつホラー寄りに変化していき、現在ではバンシーは家族の死や危篤を嘆きなげ歌うのではなく、恐ろしい声で「泣き叫ぶ」というのが一般的とされている。

そして、その叫び声は人間や動物などありとあらゆる叫び声を合わせたような凄まじいものだと言われている。

一方で、その家の者ならどこにいてもその鳴き声を聞く事が出来るので、家族は身内の死や危篤をいち早く知る事が出来るそうだ。

だが、時にその恐ろしい鳴き声は聞いた者を凍りつかせ、正気を失わせてしまうとも言われている。

ベン・ニーア

ベン・ニーアとはスコットランドの伝承に登場する女性の妖精の事である。

アイルランドのバンシーとよく似た妖精で、ベン・ニーアもまた「死の前兆」であると言われている。

なお、バンシーが基本的に家に憑く妖精で、泣き叫んで身内の死などを家族の者に知らせるのに対し、ベン・ニーアは人気ひとけのない小川や池、湖などに出没する妖精、精霊で、死に近い者の衣服を洗濯し、血を洗い流すと言われている。

伝承の内容は地域によって様々であるが、一説によると、ベン・ニーアは出産後すぐに亡くなった女性の霊(精霊)で、本来の寿命の分だけ、死に近い者の衣服を洗濯する運命にあるそうだ。

ちなみに、beanベンはスコットランドのゲール語で「女性」を意味し、nigheニーアは「洗う人・洗濯」などを意味するそうだ。

英語ではwasherウォッシャー womanウーマン「洗濯女」と呼ばれる事もあると言う。


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