世の中にはたくさんの妖精たちの伝承が残っています。
中には私たちが一般的にイメージするような可愛らしい妖精もいますが、多くは醜い容姿をしたものたちです。
容姿が醜いからと言ってそれらの妖精たちが皆悪いものという訳ではありませんが、妖精は基本的に悪戯好きなものが多いです。
中には悪戯じゃすまされない悪事を働くものや、故意に人間を傷つけたり、襲ったりする恐ろしい妖精もいます。
そこで今回は人間に害を与える妖精や恐ろしい妖精たちをまとめて、それぞれ簡単に説明していきます( ..)φメモメモ
レッドキャップ
レッドキャップは英国に伝わる妖精(ゴブリン)の一種です。
イングランドとスコットランドの国境地方にある廃墟や廃屋に住んでいて、自分の住処にうっかり近づいた人間や、出くわした人間を積極的に襲うと言われています。
一般的にゴブリンと言えば悪戯好きの妖精として認知されている事が多いですが、その中でもレッドキャップは最も恐ろしいタイプのゴブリンであると言われています。
彼の名前、Redcapは日本語にすると「赤帽子」ですが、名前の由来は上記の画像を見て分かる通り、レッドキャップが常に赤い帽子をかぶっているからです。
そして、この赤い帽子は被害者の血で赤く染められた物であり、レッドキャップの残虐性を象徴する物でもあります。
さて、レッドキャップ伝説の発祥の地はイングランドとスコットランドの国境地方だと言われていますが、英語でこの地はAnglo–Scottish borderと言い、ここはかつて領土を分ける際に凄惨な戦があって、たくさんの人々が命を落とした場所です。
かつて凄惨な戦があったイングランドとスコットランドの国境地方、一説によるとこのような時代背景がレッドキャップ伝説を生み出したと言われています。
ライ・アーグ
ライ・アーグはスコットランドの古い伝承に登場する妖精の一種です。
単独で暮らす妖精で、海や湖などの水域が近くにある場所によく出没すると言われています。
ライ・アーグは人間よりも遥かに小さな妖精だと言われていますが、どういう訳か、兵士の恰好をしており、出くわした人間に決闘を申し込むそうです。
小さな見た目とは裏腹に、戦闘のスキルは相当のもので、ライ・アーグの右手はいつも決闘に敗れた人間の血で赤く染まっていると言われています。
また、ライ・アーグとの決闘に勝利した場合でも14日以内、または2週間以内に必ず死ぬと言われています。
ちなみに、一説によるとレッドキャップの司令官がライ・アーグであるとも言われていますが、伝承の中にその証拠は見つかっていないそうです。
見た目に関しては、ライ・アーグは「古いスコットランドの兵士」の恰好をしています。
デュラハン
デュラハンは主にアイルランドに伝わる妖精の一種です。
英語ではHeadless Horseman「首のない騎手」などとも呼ばれ、名前の通り首がありません。
その容姿は数いる妖精の中でも特に異形のものであり、様々な国や地域で語られる「首のない騎手」の伝説は全てアイルランドのデュラハンが元であるとも言われています。
また、人間に悪戯や悪さをする妖精はたくさんいますが、デュラハンほど恐ろしく残忍な妖精は他にはいないとも言われています。
彼はお祭りや饗宴が催された日の闇夜に現れ、人間の魂を積極的に奪いに来るそうです。
ちなみに、Dullahanは別の名でGan Ceannと言い、これはアイルランド語で「without a head=首なし」を意味するそうです。
また、金が苦手なのだそうで、アイルランドでは昔から金製品などを身に着ける事でデュラハンを追い払う事が出来ると信じられてきたそうです。
フーア
フーアはアイルランドやスコットランドなどの伝承に登場する妖精、または精霊の一種です。
Fuathはスコットランドのゲール語で「hate(憎しみや嫌悪)」を意味する悪意のある水の妖精で、アイルランドとスコットランドの海や川、湖や入江に生息していると言われています。
人間がフーアの住処である海や川、湖や入江に勝手に入り、彼等の怒りに触れると、水中に引きずり込まれて溺死させられてしまう事もあると言います。
ちなみに、フーアには変身能力があると言われていますが、変身能力はしばしば悪魔と関連付けられており、悪意のある妖精や精霊に多く見られる能力です。
ボガート
ボガートは英国の伝承に登場する妖精の一種です。
ボガートは多くの場合household fairiesの一種であると言われていますが、同じ家憑き妖精のブラウニーやバン・ティーなどの家事や仕事の手伝いをしてくれる善い妖精達とは根本的に異なり、ボガートは基本的に悪意のある妖精であるそうです。
例えば、食べ物を勝手に食べたり、物を壊したり無くしたり、飼い犬に悪戯をしたり、寝ている住民の寝床に忍びこんで、顔に手を置いて窒息させようとしたり、耳を引っ張ったりするなどの悪事を働くと言われています。
また、家の外で暮らすボガートは家に憑くボガートよりも邪悪な傾向にあるようです。
例えば、人間の子供を誘拐したり、一説によると吸血鬼のように人間の血を吸う事もあると言います。
ちなみに、一説によると、ブラウニーやホブゴブリンなどと言った基本的に善い妖精と呼ばれる彼等も馬鹿にされたり、粗末に扱われたりすると怒ってボガートになると言われています。
ファー・ダリグ
ファー・ダリグはアイルランドの伝承に登場する妖精の一種です。
同じくアイルランドの伝承に登場するレプラコーンやクラリコーンなどと姿形、特徴などが似ているので近い関係にあると言われていますが、ファー・ダリグは特に悪戯好きであり、時には悪戯では済まされないような悪行をする事もあるそうです。
例えば、人間の赤ん坊をさらって、代わりに妖精の子供を残して行く「チェンジリング」という行為を行う事もあるらしく、これはもしファー・ダリグが人間だった場合は重い犯罪であり、懲役ものです。
また、一説によると、ファー・ダリグは夜道を歩いている人間に出くわすと、大きな鞄に入れて誘拐し、暗い部屋に閉じ込めると様々な恐ろしい声色を使って誘拐した人間を怖がらせると言います。
これはファー・ダリグが飽きるまで続くそうです。
まとめ
今回は悪戯好きなものが多い妖精の中でも特に酷いものや、積極的に人間を襲ったりする恐ろしい妖精たち6種類を紹介しました。
今回紹介した妖精たちはどれも出会いたくないものばかりですが、もしも出会ったてしまった場合でも正しく対処する事で難を逃れる事が出来ます。
例えば、多くの妖精たちは十字や銀、金、鉄などを恐れると言われているので魔除けに十字を切ったり、銀や金、鉄製のモノを身に着ける事で人間に害を与える妖精を追い払う事が出来るでしょう。
では、この記事が何かの参考になれば幸いです。
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