もくじ
ボガートとは
ボガートとは英国の伝承に登場する妖精の一種である。
ボガートは多くの場合household fairiesの一種であると言われているが、同じ家憑き妖精のブラウニーやバン・ティーなどの家事や仕事の手伝いをしてくれる善い妖精達とは根本的に異なり、ボガートは基本的に悪意のある妖精であるそうだ。
例えば、食べ物を勝手に食べたり、物を壊したり無くしたり、飼い犬に悪戯をしたり、寝ている住民の寝床に忍びこんで、顔に手を置いて窒息させようとしたり、耳を引っ張ったりするなどの悪事を働くと言われている。
また、多くの場合、家主がボガートから逃げる為に引っ越しても、一緒について来るそうだ。
ちなみに、ボガートは英国の様々な国や地域に伝わる伝承に登場する妖精なので、見た目や特徴などの描写は国や地域によって様々であるそうだ。
例えば、イングランドの北西部にある地域に伝わる伝承では、ボガートは人間の家に入って悪戯をする事もあるが、基本的には沼地や湿地帯、地面に掘った穴、橋の下など、家の外に住処を持つとされている。
また、家の外で暮らすボガートは家に憑くボガートよりも邪悪な傾向にあるようだ。
例えば、人間の子供を誘拐したり、一説によると吸血鬼のように人間の血を吸う事もあると言う。
基本的に善い妖精でない事は共通しているが、1867年に発行されたLancashire Folklore「ランカシャーの民間伝承」の中では家に憑くボガートとその他のボガートを区別している。
また、名前も国や地域によって様々な呼び名があり、bogleやboggleと呼ばれる事もあるそうだ。
見た目・特徴
ボガートの見た目や大きさ、特徴などの描写は国や地域によって様々であるが、一般的に、比較的人間のような姿をしていると言われている。
しかし、容姿は醜く、また動物のような特徴を持っているそうだ。
ある伝承では、ボガートはずんぐりとした毛むくじゃらの人間の男のような姿をしていると描写され、またある伝承では全身が毛に覆われており、より獣のような姿をしていると描写されている。
ヨークシャーのある地域に伝わる伝承では、ボガートは子牛ぐらいの大きさの、もじゃもじゃのロングヘアーの恐ろしい生き物であるとされており、また、ランカシャーのある地域に伝わる伝承では、大きな馬のような姿をしていると言われているそうだ。
上記の記述から分かる通り、ボガートには変身能力があり、様々な動物に変身出来るようだ。
ちなみに、映画ハリーポッターに登場するボガートは「マネ妖怪」として紹介されており、作中では対面した者の最も恐れる姿に変身していた。
名前を付けてはいけない
ボガートについてネットで調べてみると、ある共通した面白い記述を色々な所で見つけた。
それは「家に憑いたボガートに名前を付けてはいけない」というものだ。
ボガートに名前を付けると怒ってよりいっそう聞き分けが無くなり、悪戯や悪事が酷くなるそうだ。
これは同じ家憑き妖精であるブラウニーなども同じで、家に憑いたブラウニーに名前を付けると怒ってその家から去ってしまうと言われている。
どうやら人間に名前を付けられる事を侮辱と受け止める妖精はボガートやブラウニー以外にも少なからずいるようなので、家に妖精が憑いた場合はそれが善い妖精なのか悪い妖精なのかどうかに関わらず、名前を付ける事は止めた方が良いだろう。
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