犬の妖精 クー・シーについて



クー・シーとは

クー・シー(cu sith)とはスコットランドの民間伝承に登場する犬の妖精(猟犬りょうけん)である。

クーは「」を表し、シーは「妖精」を意味する。

また、アイルランドウェールズなどの近隣の国々には類似する生き物の伝承が残っているが、その場合は国や地域によって呼び名やスペルが変わる。

ちなみにスコットランドにはスコットランドの高地に住むとされるケット・シーという猫の妖精がいるが、クー・シーもまた高地に住んでいると考えられている。

岩の割れ目に寝床を構え、高地の荒原を徘徊するという。





見た目

若い雄牛おうしほどの大きさを持つ犬の姿をしており、体毛は通常ダークグリーンで、時には白い体毛の姿で描写される事もある。

毛並みはふさふさ丸まった長い尻尾を持つと言われている。

また、手足は人間の男の手の平並みに大きいらしい。

ちなみに、スコットランドやアイルランドなどのケルト諸語圏しょごけんでは「」は妖精を連想させる色らしい。

しかし、アイルランドのクー・シー(cu sidhe)は一般的に「大きな黒い犬」の姿をしていると言われている。

ケルト諸語圏では一般的にイギリスのブラック・ドッグなどのゴースト犬が「黒い大きな犬」の姿をしていると言われているので、アイルランドのクー・シーは妖精よりもゴースト(phantomファントム)に近い存在なのかも知れない。

※しかしアイルランドでもクー(cu)は「犬」を表し、シー(sidhe)が「妖精」を意味する


クー・シーは死神?

スコットランドでは古くからクー・シーは「死の前兆」として恐れられて来た。

一般的に人間の魂を奪い、死後の世界に運ぶのは死神の仕事だと思われているが、クー・シーもまた人間の前に現れると魂を持ち去り、死後の世界へと運んでしまうと考えられて来たからだ。

また、ある伝承によるとクー・シーは3回恐ろしい声で吠えると言う。

その吠え声は遥か海の彼方まで響き、一度ひとたびそれを聞いた者は3回目の吠え声までに安全な場所に避難しなければ死ぬほどの恐怖に襲われるそうだ。

また、クー・シーは妖精の子供に母乳を与えさせるために、人間の赤子の母親を妖精の世界へと連れ去ってしまうと言う。

なので、クー・シーの吠え声を聞いた者は赤子の母親を家の中に安全に閉じ込めなければいけないとされている。

ちなみに、イギリスには先ほど記述したブラック・ドッグと呼ばれる全身が黒い体毛に覆われた墓守などをするゴースト犬の存在も伝えられているが、ブラック・ドッグもまた「死の前兆」を表すと言われている。





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