猫の妖精 ケット・シーについて



ケット・シーとは

ケット・シーとは主にイギリス、スコットランドまたはアイルランドの民間伝承に登場する猫の妖精の事である。

古くからの伝承によるとケット・シーは胸に白い斑紋はんもんのある大きな黒猫の姿をしていると言われている。

しかし、絵本などに描かれるケット・シーは必ずしも伝承の通りの姿ではなく、画像のように体に模様の入った猫や体毛が白い猫の姿で描かれる事もある。

一般的にケット・シーは妖精の一種であると考えられているが、ケット・シーの正体は変身能力のある魔女であるとする説もある。

※古くからイギリスでは猫と魔女は深い関係があると考えられて来た

また、一般的にケット・シーはスコットランドの高地に出没すると考えられている。

ちなみに英語ではcat sith(キャット・シー)またはfairy cat(フェアリー・キャット)などと呼ばれる事もある。





ケット・シーは魂を盗む?

ケット・シーが出没するとされているスコットランド高地ではケット・シーは死者の魂を盗むと信じられて来たそうだ。

なので、高地に住む人々は亡くなった人が埋葬されるまでキャット・ニップと呼ばれる猫が好んで噛む草を用いたり、音楽などを奏でたりしてケット・シーの気をそらして、ケット・シーが亡骸に近寄らないように昼も夜も見張っていたという。

また、亡骸が横たわっている部屋を暖かくしてしまうとケット・シーが暖を取りにやって来てしまう為、火などをおこしてはいけないとされていたらしい。


ケット・シーは魔女?

冒頭でも少し触れたが、ケット・シーは変身能力のある魔女であるとする説もある。

その場合、魔女は無制限に猫に変身できるのではなくて、生涯で9回と決められている。

8回目までなら猫に変身しても人間に戻れるが9回目は人間の姿には戻れずに永遠に猫のままの姿になってしまうという。

ちなみに、日本には「猫に九生きゅうしょう有り」ということわざがある。

このことわざは猫は9回も生まれ変わる事ができるという迷信から生まれたものである。

※その迷信も、もともとは上記の説がオリジナルであると考える人もいるそうだ。


猫の王様

猫の王様」とはイギリス発祥の有名なおとぎ話であり、そこには猫の妖精(ケット・シー)が登場する。

以下に話の概要を記述する。

ある日男は家路に帰る途中、胸に白い斑紋はんもんのある黒い9匹の猫達が王冠が乗せられた棺を運んでいるのを見かけた。

その内の1匹が男に言った。

「トムに伝えてくれ。ティムが亡くなった」と。

家に帰った男が一連の出来事を妻と飼い猫のトムに話すと、トムは叫んだ。

「なんだって!?ティムが亡くなったって!?じゃあ僕が次の猫の王様じゃないか!」

するとトムは煙突の上に上り二度と帰って来なかった

※この話には様々なバージョンがあるが、多くの場合、トムはこれまでは言葉など話さない普通の猫だったが、男からティム(前王)の死を聞かされて急に妖精化(言葉を喋り、二足歩行をし出したりする事)したパターンが主流である





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